納豆騒動に思う その2

納豆騒動が、大変なことになってきた。
データを捏造したテレビ局は、
言語道断であるが、
こっけいなのは、
テレビ番組に振り回されている消費者である。
こっけいなどといって申し訳ないが、
これは、以前、
同じようにテレビ番組に振り回されていた
昔の自分に対する自戒を込めた感想である。


今回の一件に関する消費者の声が
おもしろいので、ちょっと拾ってみた。

以前は月に数回食べる程度だったが、
番組で「1日2パックを毎日食べ続けて」
と聞き、その通りにしていた。
でも体重が減らないからおかしいと思っていた。
(団体職員女性)


放送を見た妻と娘が
「毎日2パック食べなければいけない」
と言い出し、
会社帰りに毎日買いに行かされた。
「いい迷惑。テレビ局はいいかげんにしてほしい」。
(会社役員の男性)


ショックですよ。
あれ詐欺ですよ。
もう、毎日食べるのはやめます。
(関取)


コレステロール値と体重を減らそうと
納豆ダイエットを始めた。
朝と晩に1パックずつ食べたが、
3日目に気持ち悪くなって中止。
コレステロール値と体重は減らなかった。
科学的根拠なくこんな番組を放送するなんて、
初めから消費者をだますつもりだったのではないか。
(主婦)


まあ、次から次へと文句がでてくる。
消費者の言い分を聞いていると、
金融詐欺でだまされた被害者の声と一緒だ。
お手軽に、お手ごろな値段で、
楽して結果を出そうという
ダイエットの手段にとびついたのは、
選択したその人自身の責任である。
きちんと調べることなく、
情報を鵜呑みにしたのに、
「だまされた」
はないのではと思ってしまう。


それに、
番組で放送されたような効果が得られないから、
納豆を食べてもムダであるというのは、
短絡的すぎないか。
納豆は、昔からの健康食材。
番組で取り上げる前も後も
納豆が健康食材であることに変わりはないのだ。


今回の騒動の1番の被害者は、
消費者ではなく、納豆製造メーカーである。
株でいうなら、納豆の価格が、
ストップ高したあと、
ストップ安している状態なのだから。
売店からのオーダーに応じて、
増産したあげく、
騒ぎがあったからもういらないでは、
たまったものではない。
在庫になった分は、
廃棄しなければならないという。
納豆を買い占めた消費者も、
じゃんじゃん販売した小売店も、
みな共犯だ。


しつこいようだが、
これは自戒を込めての反省である。
データをねつ造したテレビ局は、
もってのほかだが、
受けての消費者にも問題がある。
テレビから流される情報は、
全て正しいわけではないのだ。
鵜呑みにしてはいけないのである。


情報は、
完全に中立な立場から発信されるものなど、
まず皆無と考えた方がよい。
情報は、
発信者が意図する、
意図しないにかかわらず、
発信者にとって有利になるようなバイアスが
かかっているものだ。
特に、食や健康、環境に関する情報には、
注意が必要だ。


では、どうやって自分の体にとって
よい、悪いを見抜けばよいのか。
決定的な答えはないが、
そのヒントは自然の中にある。


私たちの生命現象は自然の循環の環の一部である。
人間の生活も自然の営みの一つと考えれば、
次のような自然のルールを思考のベースにおくと、
物事がクリアに見えてくる。


1.すべてのものは循環している
   滞ることでゆがみが生じる
2.自然は長い時間の中で、その平衡点を見つける
   短時間で結果を出そうとすればゆがみが生じる


自然のルールに照らし合わせて、
自然か不自然か。
大変シンプルであるが、
物事の本質を見抜く
一番重要なポイントなのだと思う。


納豆を毎日2パック食べれば、
2週間という短時間で、
ダイエット効果があり、
コレステロール値が減少する。
やっぱり、不自然でしょ。