「愛されるサービス」

ものすごく久しぶりにブログを書きます。
この間アップしたのが、3月14日だから、1ヶ月以上も
間があいてしまったか・・・。


今日は、最近ちょっと感動した本について。
「愛されるサービス 
 〜ホスピタリティは50:50の関係から生まれる〜」
(新川義弘 かんき出版)


著者の新川さんは、「グローバルダイニングのサービスの確立者」
といわれる方で、ウエイターのプロフェッショナルから、
グローバルダイニングのNo.2に登りつめた人です。
また、小泉首相ブッシュ大統領を「権八(ごんぱち)」に
招待したときのウエイターも務めました。


どのような仕事にしても、その道を極めた職人さんには、
いろいろな共通点があります。
中でも1番重要なことは、一流になるための秘策や早道などと
いうものはないということ。
当たり前のことを当たり前に積み重ねることこそが、その道を
極める唯一の方法だということが、この本の中でも繰り返し
述べられています。


新川さんも
「サービスは無駄の積み重ね」
「スタンダードなサービスこそ重要」
とおっしゃっています。


サービスとは人を感動させること。そのためには、お客様が
して欲しいと思っていることを、言われる前にして差し上げる
ことが重要です。そのために、いくつもの「無駄なサービス」
が必要だというのです。
それはそうですよね。お客様がこうしてほしいという前に、
アクションを起こすのですから、中にはしなくてもよいサービス
もあるはず。
でも、その積み重ねや心遣いが、人を感動させるサービスを生む。


また、私たちがサービスと聞くと、何かユニークなサービスや
斬新なサービスをイメージするかもしれませんが、それは、
あくまでプラスアルファであると、新川さんは指摘しています。
そのようなサービスは、スタンダードなサービスがきちんと
できているという前提があって、初めて生きてくるというわけです。
これも、「あたり前のことを当たり前にやる」ってことですよね。


それから、こんな話もされています。
1度来店されたお客様の名前を覚えているのはもちろんのこと、
ワインの好み、苦手な食べ物、お肉の焼き方、デザートの好みなど
も全部頭に入っているというのです。
2回目にお店に行ったときに、お店の人がここまで自分のことを
覚えていて、
「この間は、こちらのワインをご注文されたかと思いますが、今回は
こちらのタイプはいかがでしょうか。」
なんて言われてしまえば、それは、「感動!」ですよね。


一流の職人さんは、五感をフルに活用して、人間の持っている能力を
最大限に引き出しているんですね。これも、プロフェッショナルに
なるために必要なこと。


この新川さんの本を読んでいて、私は、三谷幸喜の「王様のレストラン
というドラマを思い出しました。私は、かなりの連ドラおたくで、
けっこうな数の連ドラをみていますが、その中でも傑作と思えるほど
大好きなドラマです。


「ベル・エキップ」というフレンチレストランの天才的なオーナーシェフ
急逝。人はいいけど、かなりぬけている長男が店を引き継ぎ、お約束どおり
店の経営が危うくなるのですが、そこに、松本幸四郎扮する伝説の
ギャルソンが登場し、一癖も二癖もある個性的な店の仲間たちとともに、
お店を再建していくという話。


この伝説のギャルソンと新川さんが、重なって、重なって・・・。
この本のサブタイトルは、
「ホスピタリティは50:50の関係から生まれる」
となっていますが、ウェイターは「下僕」ではいけなと新川さんは
強調しています。
他のお客様に迷惑をかける招かれざる客には、毅然とした態度で
臨まなければいけないときもあり、その体験談についても
語られていますが、この誇り高きプロフェッショナルの姿は、
伝説のギャルソンそのもの。


読後感がなんともさわやかな本でした。やはり、その人の体験から
語られる生きた知恵ほどおもしろいものはありません。