決算短信口座⑤ 〜キャッシュフロー計算書〜

もうじき、3月が終わってしまします。なんとか、決算短信口座を
完結させなければ。ということで、本日は、キャッシュフロー計算書
についてご説明します。


決算短信口座③でご説明致しましたが、損益計算書は、1年間の
会社の成績表のことでしたね。
売上高 → 売上総利益 → 営業利益 → 経常利益 → 当期利益
という流れで、会社の最終的な利益である「当期利益」を導き出しました。
ここで、考えてみたいのは、この当期利益と会社の手元にある現金とが
一致するかどうかということです。
結論から申し上げると、これは一致しません。
その理由は、日本の企業会計では「発生主義」で損益計算書を作成
しているからです。
具体的にご説明します。
日本の企業間の取引では、商品は注文するとすぐに手元に届きますが、
代金の支払いは1ヶ月先、2ヶ月先などという形が主流です。
企業間の取引は現時点ではなく、将来の現金の受取りや支払いを
約束した取引で成り立っているのです。
たとえば、3月決算の会社があったとします。3月中に売り上げた
商品、製品やサービスは、売り上げた日に帳簿に計上されます。
しかし、実際に現金が入ってくるのは、4月、5月になってから。
ということは、3月末で会計を閉めた段階で、損益計算書には、
売上は計上されていますが、現金は手元にないことになります。
よって、当期利益とキャッシュは一致しないのです。


そこで、キャッシュの出入りがどうなっているかを調べることが
とても重要になってくるのです。皆さんは、「黒字倒産」という言葉を
お聞ききになったことがありますか?これは、損益計算書上では、
黒字であるにもかかわらず、手元のキャッシュが足らずに倒産に
追い込まれることをいいます。特に、創業間もないベンチャー企業
などは、財務力が弱いために、資金繰りがつかなくなり、倒産など
ということが100%ないとはいいきれません。だから、
キャッシュフロー計算を調べることが大変重要なのです。


キャッシュフロー計算書は、次の4つの項目から成り立っています。
 ①営業活動によるキャッシュフロー
 ②投資活動によるキャッシュフロー
 ③財務活動によるキャッシュフロー
 ④現金同等物


各項目の金額がプラスになっているか、マイナスになっているかに
に着目します。
 ①会社本来の事業活動からあがってくるキャッシュ。
  この数字がマイナスになっているということは、本業でキャッシュ
  を稼ぐことができなわけですから、その会社の存在意義が問われます。
 ②事業拡大のための投資、財テクのための投資などキャッシュの
  出入りを示します。会社が順調に拡大していれば、事業拡大のための
  投資が必要になります。通常は、この項目はマイナスになります。
 ③借入金や社債・株式の発行や配当金の支払いなどのお金の出入りを
  示します。
  銀行からの借入や株式発行によって資金調達をすれば、この項目は
  プラスになります。
  一方、営業活動によるキャッシュフローが潤沢(本業が儲かっている)
  で、事業拡大のための投資や財テクにまわしたり、配当金の支払いが
  できていれば、この項目はマイナスになります。
  基本的には、マイナスが望ましいのですが、高成長の時期にある
  ベンチャー企業などは、資金調達をして、事業拡大のための投資に
  まわす傾向がありますので、この項目がプラスになります。
 ④①〜③の全体を含めたキャッシュの増減を示します。


貸借対照表損益計算書キャッシュフロー計算書、の中である意味1番
注目すべき計算書といえると思います。
投資のプロは、
キャッシュフロー計算書 → 貸借対照表 → 損益計算書 の順で
注目しています。