林文子氏

 1月23日号の日経ビジネスダイエー会長兼CEOの林文子氏
のインタビューが載っていたので、しっかりチェック。
今月に入ってから、本も2冊出していますね。
『一生懸命って素敵なこと』(草思社
『すべては「ありがとう」から始まる』(日経ビジネス人文庫


 私が林氏を好きな経営者だなあと思う理由は、会社の成長や
人の成長には、適正なスピードがあるということを知っている方
だからです。インタビュー中に、そう思える箇所がいくつかあります。


 『「ダイエーはすぐ良くなると思いますか」という質問を受け
ますが、人は簡単に変わらないのが当たり前です。短い期間で
みんな急に変わるなら、それこそファシズムみたいで気持ち悪い
ですよ。』(林氏談)

 
 コンビニエンスストアと食品スーパーの特性を併せ持った新店
フーディアム」の出店ペースが当初の想定より遅れているとの
指摘を受けて、
『「フーディアムを100店出す」と派手に打ち上げるのは格好
いいんですが、それはできない。きちんと検証し、スピードも
落とさないバランスが必要です。同じ仕組みで店舗運営をして
規模の利益を生かすことも重要ですが、消費者の購買動向は地域
で、もっと言えば、1店舗ずつ違う。その間のぎりぎりのところ
を計算して商売せざるを得ない。それが現実です。』(林氏談)


 巡航速度という言葉があります。船や航空機が最も経済的に運行
できる速度という意味です。これって、いろいろなことにあてはま
るのではないでしょうか。経済の成長、会社の成長、人の成長、
株の上昇についても。何かが成長する場合には、必ずそれに見合った
時間をかける必要があるのだと思うのです。このことを知っている
経営者は、上手に人を育て、上手に会社を育てることができます。
急成長、急上昇は、そのときはいいのですが、あとから必ずひずみ
がきます。株のバブル、今回のライブドアの一件、みなあてはまり
ますよね。


 林氏はそのほかにも、人を動かすための大事なポイントをよく
おさえています。ダイエーが持っていた本来の力を尊重し、今回の
再生に生かしていることです。林氏は、ダイエーの財産は、技術力
だといいます。たとえば、フーディアムの運営に必要不可欠なのは、
狭い店内に少量のものをたくさん陳列する技術なのですが、ダイエー
の持つこの技術はすばらしいと言っています。よいところは、褒め
て伸ばし、足りないところは、一緒に考えて改善するなり、新しい
やり方を導入する。あたりまえのことかもしれませんが、これで、
人は動くのです。


 やはり、林氏はよく勘所をおさえたリーダーであるということが、
今回のインタビューからも伝わってきました。