小売業界の再編

 セブン&アイホールディングスがミレニアムリテイリング
西武百貨店、そごうを傘下におく持ち株会社)を買収して、
小売業界の再編が俄然、おもしろくなってきました。
なぜなら、総合スーパー、コンビニ、百貨店などの業態の垣根
を飛び越えた、小売業界の地殻変動ともいうべき大きな流れが、
生まれてきたからです。


 実は、セブン&アイのニュースが飛び出す前の12月21日の
日経新聞に、ちょっと気になる記事を見つけていました。
『政府・与党が検討している都市計画法の改正案が、20日、
明らかになった。延べ床面積1万平方メートル超の小売店など
大型商業施設が建てられる地域を中心部の商業地域などに限定
する。』というものです。
つまり、大手スーパーなどの戦略であった大型店の郊外出店に
規制がかかるということ。イオンやイトーヨーカ堂は、店舗戦略
を見直さなければならなくなります。特に、イオンの新規出店の
条件は、「たぬきが出没する所」と揶揄されるほど、大型店の
郊外出店にこだわっていたので、影響大です。


 このような流れの中で、俄然注目が集まってきたのが、駅前
立地の古い店舗です。具体的には、ダイエーの閉鎖店とか、
立地のよい百貨店とか。これらの物件には、大手スーパーに限らず、
商社、ファンドなども高い関心を寄せています。村上ファンドが、
いち早く、阪神松坂屋などの株を買いあさっていた理由がこれで
わかりましたよね。村上氏は官僚出身ですから。


 では、将来の百貨店のイメージはというと、「百貨店のSC化」
だそうです。SCとは、ショッピングセンターのこと。ショッピング
センターといえば、イオンやイトーヨーカ堂のような大手スーパーが、
郊外で展開しているのが今までの形でした。ショッピングセンターと
いうのは、1つの商圏に複数の小売店舗が集まった商業施設のこと。
まとめてみると、「百貨店のSC化」というのは、大家さんである
百貨店が、多くの小売専門店に商売のスペースを貸して、テナント料
(家賃)を得るというビジネスモデルに変わっていくということなの
です。


 「百貨店」から「都心のショッピングセンター」へという戦略が
セブン&アイの狙いなのです。何か、新しい付加価値を生み出せる
のかどうかはわかりませんが、今までとは一味違った、新しい
サービスを受けることができるかもしれないと思うと、一消費者として、
わくわくしますね。