BRICs

BRICsという言葉はすっかりおなじみになりました。
ブラジル・ロシア・インド・中国の頭文字をとって並べた
ものです。今、このような新興国マーケットに投資する
投資信託が大人気です。
6月に運用を始めた野村アセットマネジメント
「野村インド株投資」が、申し込みが殺到して、即日完売
となったのは記憶に新しいところ。
確かに長い目でみると新興国マーケットにはとても魅力が
あります。
データをみてみると、BRICsが世界に占める比率は、
人口が42%、面積が25%、国内総生産(GDP)が8.3%
であるにもかかわらず株式時価総額はわずかに3.9%です。
潜在的な成長力は計り知れない・・・・。


ただ、当然のことながらリスクも大きいのです。
市場は小さいく整備が整っていない上に、政治的なリスクもあります。
中国、ロシアなど連日のニュースを見ていれば、国内の混乱ぶり
は一目瞭然。
インドも不安です。9月29日に起こった事件ですが、
主要労働組合が24時間の全国一斉ストライキを行い、空港公団や
国営金融機関、一部民間企業の職員を含む約4000万人が参加
しました。昨年5月のシン政権発足以来、最大規模のストライキです。
背景には何があるのでしょうか。インド政府は、外資導入と
民営化という2つの車輪をまわして、構造改革を進め、経済成長
の拡大を図っています。この構造改革の犠牲になる、国営企業
労組を中心に反政府運動が活発化しているのです。
急激な変化や成長には、必ずひずみが生まれます。
このような政治的不安をかかえつつも、世界の金あまりを背景に、
インド株市場は好調で、年初来の上昇率が3割近くにたっしています。
大量のマネーが流れ込む受け皿である市場の規模が小さいことも、
心配の種です。
インドのムンバイ証券取引所時価総額は45兆円と東京証券取引所
九分の一。急騰、急落のリスクがいつもつきまとうのです。


それでも私は、新興国マーケットのファンドを持つのはありだと
思っています。日本や米国、ヨーロッパなど安定成期に入った
先進国のマーケットにはないダイナミックな成長をとりにいくことは、
資産運用上、有効な手段だと思います。
ここで、役に立つのが「ドルコスト平均法」という時間分散の
投資方法。価格変動の大きなマーケットに一期間にまとめて、
資金を投入することは、かなりリスクが高い。
ドルコスト平均法は、毎月一定額ずつ積み立てていくやり方
なので、株価が高い時には口数を少なく買い、株価が安いときには
口数を多く買うことで、平均取得価格をならす効果があります。
新興国マーケットのファンドにはこれだけの金額を投資すると
決めておき、毎月積み立てて、ほっておけば、わずか時価総額
3.9%のBRICs市場のダイナミックな成長を、リスクを
軽減してとりにいくことが可能になるのです。


新興国マーケットの中では、ベトナムに注目しています。
米国が、人件費の安さを目的とした輸出加工拠点としてではない
投資に踏み切っているからです。金融や観光、コンサルティングなど
のサービス分野の投資が活発化。
ベトナム政府は外国企業として初めて、米国のブランド戦略の
コンサルティング会社リチャード・ムーア・アソシエイツに
ベトナム国内での営業活動の認可を与えています。
同社の役割は、これからベトナムに進出してくる米国企業の
ベトナム国内におけるブランド戦略を請け負うこと。
つまり先兵です。
この動きは、ベトナムの経済水準がかなりあがってきたことを
意味しています。つまり、商売ができる段階にきたということ。
米国はお金にならなければ動きませんから。