ダイエー、次のステップ

ダイエーの株、ずいぶん上がりました。
8月8日の安値1600円から、昨日は3120円が高値。
ほぼ、倍になっています。
個人消費の回復というマクロ面での材料と店舗リストラの
進展に伴う今後への期待感を織り込んでの値上がりです。
あ、林会長効果もみのがせないですね。
3000円は節目の値段なので、さすがに今日は、利食い売り
が先行して、株価は下げています。


今回のリストラで、加工食品取引を行う卸選別にも大なたを
振るったようです。ダイエーは、今まで、業界最大手の国分、
2位の菱食三井食品、日本アクセス、明治屋商事の5社と契約
していました。今回の見直しで、三井食品、日本アクセス、
明治屋商事は取引を切ることになります。
従来ダイエーは、多くの取引卸を抱えることで、決算対策の
ためのリベートを確保する手段としていたそうです。
このような不透明な取引構造にメスを入れて、物流の効率化や
商品開発力の向上に役立つ卸とだけつき合うというのが表向き
の理由です。
しかし、もう少し深堀してみると、スポンサーである丸紅の
意向が強く働いているようです。ちなみに、日本アクセスは
伊藤忠商事系、取引は継続しますが、国分に比べれば取引の
増加幅が小さくなる菱食は、三菱商事系です。
なるほどね。
実は、こんなエピソードがあります。ダイエーの信用不安が
広がったとき、日本酒類販売などの卸が次々に取引を縮小していく
中で、三井食品がそれを肩代わりしたそうです。
また、三菱商事の子会社が逃げ出した時、菱食が取引を維持し、
信用不安の流れを食い止めたそうです。
ダイエーの現場は、三井食品菱食に恩義を感じています。
これに対して樋口社長は、「ダイエーが再生しなければ、
社会に大きな迷惑をかけることになる。しがらみにこだわって
いては大きな目的は達成できない」とばっさり。
はたして、スポンサー企業丸紅系に取引を集約したことが、吉と
でるか凶とでるか。今後、順調に売上や利益を伸ばし、ダイエー
が力強く復活すれば特に問題は生じないかもしれませんが、
うまくいかなかった時は、現場との間に感情的な尾を引きそうな
問題ですね。


林会長はあいかわらず元気です。生鮮品や総菜など食品部門の
強化を店舗戦略に据え、早速「総菜の品質向上プロジェクト」を
6日に発足させます。料理専門学校の辻クッキングスクール
によるメニュー監修や、常連顧客による商品の評価制度も
取り入れるそうです。林会長は、女性社員と顧客による
評価委員会」を担当し、商品開発に顧客の意見を反映するそうです。
いやいや、林会長らしい役どころです。


ダイエーもこれからは具体的な数字や成果を求められる段階
になりました。3000円を突破して力強く株が上昇するか
どうかはここにかかっています。
本日の日経に、2006年2月期の連結経常利益が、
当初見通しの230億円を数十億円上回る可能性がでてきたと
報道されています。この半年は勝負ですね。