「堅あげポテト」出世物語

今日は、ポテトチップスのお話です。
カルビー「堅あげポテト」をご存知ですか。
普通、ポテトチップスは薄くて軽いパリパリした食感を楽しむ
食べ物です。しかし、「堅あげ」はネーミングの通り、
厚切りにしたポテトをじっくりあげており、独特の歯ざわり
があって、普通のポテトチップスとは違います。
ちょっと、ポテトで作ったおせんべいを食べているような
食感に近いかな。
そして、噛めば噛むほど、ポテトの味が口の中に広がって、
「じゃがいもを食べたあ」という気になるポテトチップスです。
この独特の食感はポテトチップスの製法に秘密があります。
通常、ポテトチップスはジャガイモを機械でスライスし、
連続式と呼ばれるフライヤーに投入。揚げる時間は約2分
ですが、この「堅あげ」はフライヤーの代わりに釜を使用。
低温で長めに揚げるので水分が少なくカリカリに仕上がります。
それで、あの独特の食感が生まれるのだそうです。
ポテトチップスのコアな購買層は、20−30代の男女。
「堅あげ」は、大人のポテトチップといった感じなので、
購買層の年齢はやや高くなっています。
最近は新製法で油分が25%減ったことにより、カロリーを
気にする女子大生にも人気だとか。


実はこの「堅あげポテト」がナショナルブランドに成長
するまでには、12年間という長い時間を要しています。
「堅あげポテト」が世にデビューしたのは、1993年。
当時は、北海道で6ヶ月の限定販売でした。
ジャガイモは貯蔵すると糖分が高まり、長く揚げると
焦げやすくなります。「堅あげ」は低温でじっくりあげるため、
糖分をたくさん蓄えた貯蔵品のジャガイモでは作ることが
できないのです。よって、新じゃが出回る時期だけ食べられる、
しかも北海道限定という幻のポテトチップスだったのです。
実は、私はこの「堅あげ」が北海道にデビューしたころから
のファンです。当時、毎年冬になると北海道にスキーに行っており、
空港の売店でこの「堅あげ」に出会ったのが長いつきいの始まり
でした。今までのポテトチップスにない食感と、噛めば噛むほど
ジャガイモの美味しさを実感できる「堅あげ」に一目ぼれ。
以来、スキーに行くたびに「堅あげ」を何袋も買っておみやげに
したものです。
あの「堅あげ」がこんなに有名になるなんて、デビュー当時からの
ファンだった私としては、感慨もひとしお。
よくぞ成長したなあ!!


北海道は新製品の実験場であることは、よく知られている話です。
商圏人工の少ない北海道で、新製品がヒットすれば、ナショナルブランド
に成長する可能性が高いため、パイロットで投入されるのです。
また、新商品に敏感な土地柄ということもあります。
販売条件の厳しい地方の小売店が、知恵をしぼって売れる仕組みを
作り上げ、地元で地盤を固めてから全国展開をしていくのに似ていますね。
「堅あげ」がナショナルブランドに成長するまでには、ずいぶんと
たくさんの困難があったようです。なにしろ大量生産に向かない
商品なので。数々の失敗を繰り返して、ここまで成長してきた
ポテトチップスは、一時の流行商品ではなく、息の長い商品に
なるのでしょう。
なにしろ、12年もの間このポテトチップスのファンである人間が
実際に、ここにいるのですから。
がんばれ!!「堅あげポテト」