小さな巨人 有沢製作所

今週の日経ビジネスに「日本の伸びる会社」という特集が
組まれています。
ここに私が前から気になっていた有沢製作所が、第2位に
ランクされています。
この記事を読んで、やはりすごい会社だと納得しました。


有沢製作所の本社は、JR信越本線無人駅「南高田」から
徒歩15分の所にあるそうです。戦後まもなく建てられた
木造工場を含む本社の写真をみると、とても伸びる会社
ランキングの2位に選ばれた企業とは思えないのですが、
実はすごい会社なのです。
まず、ニッチマーケットのニーズを的確にとらえ、グローバル
で高シェア製品を次々に生み出しています。
折り畳み式携帯電話の連結部分などに使用されるフレキシブル
プリント基板で日本を含むアジアのシェアが46%。
米国などで人気の高い大型のリアプロジェクションテレビ用
レンズも世界シェアトップの5割。
有沢製作所では、過去3年以内に市場に投入した製品を
「新製品」と定義しているそうですが、売上高の50%が
新製品で占められています。
以前ブログでご紹介した進化し続ける会社「スリーエム」と
同様の傾向がみられます。
2つ目のポイントは、徹底した業績連動型賞与。
固定給はそれほど高くないそうですが、営業利益の45%を
賞与として分け合うというルールがあります。
これは、株主も納得した上でのルール。
また、係長級にまでストックオプションをはっており、
従業員が自社の株価や業績に敏感になることが習慣化している
そうです。
3つ目のポイントは、高い配当性向です。
徹底した業績連動型賞与で従業員のモチベーションをあげる
一方で、株主には、連結税引き利益の3割を目安に配当を
出しています。ちなみにトヨタの配当性向が18%ですから、
30%は大きい。従業員か、株主か、とかく企業はどちらかに
バイアスをかけて優遇してしまうものですが、有沢製作所の場合
には両者のバランスを上手にとっているのです。


有沢製作所は今年で創業96年だそうです。約100年の間、
業績を伸ばし、時価総額を上げ続けてきたこの企業は、小粒ながら
日本のビジョナリーカンパニーです。
この会社はオーナー系企業で、現社長有沢三治氏は、創業5代目。
3代続けばりっぱな会社とされるオーナー系企業で5代はすごい。
ひとえに、ヒトの魅力なのでしょう。有沢社長は、年に2回は、
お1人で1週間くらい欧米に滞在し、株主に経営モデルを説明
する行脚をしているそうです。
「海外でのIR活動は、私自身の武者修行みたいなもの。」
と言ってのけてしまう有沢社長の言葉を、社員も聞かないわけが
ありません。代々の社長さんの教えをきちんと受け継いで
きたからこその今の姿があるのでしょう。
日本の地方企業でありながら、外人持ち株比率が高い優良企業
であり続けているのは、このような地道な努力があってこそ。
この会社の行く末、これからもじっくり見ていきたい。
大変興味をかきたてられる会社です。