自分の生活を楽しめない人は、モノを売れない

先週、土曜日の日経新聞に、あの「スーパーの女」のことが
のっていました。そうです、林文子会長兼最高経営責任者
ことです。
経済誌フォーブス(電子版)が、7月28日、世界で活躍
する「最もパワフル(有力)な女性百人」の番付を発表しましたが、
66位に日本人としてはただ一人、林氏が選ばれました。
ちなみに、1位はライス米国務長官、2位は中国の呉儀副首相、
3位はティモシェンコウクライナ首相です。
ライス氏や呉儀氏は、「鉄の女」という本当に固そうなイメージ
がありますが、林氏は、パワフルさの中に、女性らしい
柔らかさやかわいらしさを併せ持っているという印象を受けます。


個人的に興味のある人物なので、「失礼ながら、その売り方では
モノは売れません」(林文子著 亜紀書房刊)を早速、読んで
しまいました。最近、この手の本がたくさんでていますので、
内容的には目新しいものはありませんが、林氏の経験談ですから、
とにかく説得力があります。
そして、林氏の人となりが伝わってくる暖かい本です。
少々、元気のない時に読むと、元気がわいてきます。


経験談の中で、「おっ」と思ったことがあります。彼女が、
フォルクスワーゲン東京(当時、ファーレン東京)の社長に就任
した時のエピソードです。当時のファーレン東京は、長期赤字が
続き、将来展望の見えない状態で、管理職は残業に次ぐ残業で、
家庭生活にまで影響が出ているのに、業績が上がらない、泥沼が
続いていたそうです。そこで、林氏は、思い切って、時短の
改革を行いました。営業所の営業時間を午後9時に閉めるのを
7時に繰り上げたそうです。
「自分の生活を楽しめない人が、ヨーロッパの高級車を売ることは
できない」という発想です。
結果、短い時間にいかに密度の濃い仕事をするかというように、
社員の意識が変わり、2年で黒字に転換、目標を2年前倒しで
達成、毎年130%ずつ売上を伸ばすことに成功したそうです。
なにか、どこかで聞いたような話・・・・。
そうそう、下着メーカーの「トリンプ・インターナショナル」で
同じような取り組みをしていましたね。
そして、同じように18期連続増収増益という、業績面に、
結果があらわれています。


私が証券営業をしていた頃、女性は時間を上手に使っていました。
男性営業マンは、朝早くから夜遅くまで、会社に拘束されて
いたので、時間を上手に使うもなにもなかったんですけれどね。
(かなり、気の毒な状態・・・・。)
女性は、6時、7時に仕事を終えると、そのあとで、映画や観劇や
コンサートに行ったり、おいしいものを食べに行ったり、
また、ご結婚されている方は、家事やお子さんとの時間を楽しん
だり・・・。
心が豊かになる生活をしていたと思います。
これからは、営業というモノやサービスを売る仕事をする人は、
仕事のことばかりではなく、それ以外の多方面の知識をもって
いないと、お客様の信頼を得ることはできません。それに、
人脈というネットワークも大切です。6時、7時で仕事を終えて、
自分の時間を大切に、自分を高める経験や勉強をする。
こういう時間がもっと、もっと大切になってくるような気がします。