脳のトレーニング

昨日、東北大学教授の川島隆太氏の講演を聞く機会が
ありました。
「脳を鍛える大人の計算ドリル単純計算60日」を書いた
あの人です。


川島氏は脳の研究の結果、人間のおでこのうしろあたりに
ある「前頭前野」が、ヒトが人であるための大事な箇所で
あることをつきとめました。人間の「前頭前野」はサルなどの
他の動物に比べ、非常に発達しており、創造力、記憶力、
コミュニケーション力、自制力などを司っているそうです。
そして、「前頭前野」を鍛えるためには、
①音読や単純計算 ②コミュニケーション ③手指を使って何か
を作る ことが有効です。
まあ、ここまではよく聞く話ですが、とにかく驚いたのは、
認知症の患者さんが、これらのトレーニングをすることに
よって、脳機能が改善したという実例です。
昔のことが思い出せないという比較的軽い認知症にかかっていた
98歳のおばあさんが、脳のトレーニングを始めて、徐々に
脳の機能が改善し、昔のことを思いだすことができるように
なりました。そして、家が貧しかったために、勉強が大好き
だったにもかかわらず、満足に学校にも通えなかったので、
どうしても、英語の勉強がしたいと考え、99歳にして、
生まれて初めて英語を勉強し、100歳の今、高齢者に
アルファベットや簡単な英語を教えているというのです。
また、寝たきりの重度の認知症の患者さんが、スタッフの
献身で、読み聞かせから脳のトレーニングをスタートし、
車いすに座って、字が読めるようになるまで回復したという
事例もありました。
認知症を治す薬はないのですが、自分で脳を鍛えると、症状の
進行を抑えたり、脳の機能を回復することができるのです。
人間には自己治癒力があるといいますが、実際に目の当たりに
するとすごいですね。


今、世の中は、とても便利になって、快適な生活を送ることが
できるようになりましたが、これが、脳の機能を衰えさせる
原因の1つです。たとえば、パソコン。自分もそうですが、
手書きのお手紙は、ほとんど出さなくなってしまいました。
メールの方が、手軽で早くて便利ですから。
でも、これがまた、脳の機能を衰えさせてしまいます。
手を使って文字を書くことは、とてもよい脳のトレーニン
になるそうです。
本来は、脳が処理していた仕事を、パソコンやその他の電算機
にまかせてしまう。便利な道具もたよりすぎると、自分自身の
脳の機能を低下させ、老化を早めることになりかねない。
脳のトレーニングは、意識して毎日続けると、確実に脳の
機能を回復させるそうです。ジョギングやウォーキング
同様、予病対策として、脳のトレーニングをする必要が
ありそうですね。