地方都市を救う夢の乗り物

日経ビジネスにとてもおもしろい記事が載っていました。
「線路を走るバスが地方を救う」
タイトルを見ただけでも、なんだかわくわく。
その正体は、「DMVデュアル・モード・ビークル」という
道路・線路両用車です。
JR北海道が、試作1号機を2004年1月に完成させて、
現在、試験走行中。
近く、この世界初のDMVが実用化されるそうです。


このユニークな乗り物が走っている姿を想像すると、
思わず笑ってしまいます。外見は、ゴムタイヤのついた
普通のバスなんですよ。でも、レールの上にあがると、
格納されていた鉄車輪がレールに乗って、後輪のゴムタイヤが
駆動輪となり、ディーゼル列車に変身してまうのです。
変身時間は、わずかに10〜15秒。
線路を降りると再び、路線バスに戻って、最終目的地へ。
お年寄りにも子どもにの優しい乗り物です。


DMVは、普通の鉄道線路だけでなく、廃線や貨物線の上を
走ることが可能なので追加投資の必要はほとんどなし。
鉄道の安定輸送とバスの機動力を兼ね備えたこのちょっと
笑える乗り物は、ものすごい優れものなのです。
DMVの実用化にめどがたてば、赤字路線を抱えるJRや、
私鉄にとって、吉報。地域住民の利便性を考えると赤字でも
運行せざるを得なかったローカル線を廃止して、このDMV
に活躍してもらえばいいのですから。


道路を走る列車という考え方は、新しいものではないそうです。
1932年英国から始まり、日本でも40年に旧帝国陸軍が、
62年には旧国有鉄道が取り組んだ歴史があります。
でも、実用化には至らず。
今回実用化に至った背景には、JR北海道の鉄道事業本部長
柿沼博彦専務のブレークスルーがありました。
「非常識の中に常識を探せ!!」
技術屋さんだった柿沼氏は、2002年のある朝、徒歩通勤の
途中に幼稚園児送迎用のマイクロバスを見かけて、DMV
ひらめきを得たんだって。
新幹線のようなドル箱を持たず、ハンデをおった環境の中、
こういう楽しいブレークスルーで、事態を好転させていく。
機能不全に陥っている大きな組織は、こういう発想に学ぶべき
ものがありますね。