時代を超える生存の原則

個人投資家の短期トレーディングは、ますます活発になって
いるようです。今朝の日経金融新聞でも、個人投資家が、
先物オプション取引のようなプロの市場に参戦という記事が
のっていました。
投資の世界も、ますます「スピード化」「競争激化」ですか・・・。
刻々と変化する価格のゆがみを、ハンターのように追っていく
投資スタイルが、スタンダードになる。
いろいろな価値判断の基準が、「短時間」「短期間」に偏って
きていることが、とても気になります。
スピードも大事だけれど、時間をかけて変わらないものを評価する
目も大事なんじゃないかなあ。
そんなことを考えていたら、
「ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原則」
(ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス著 日経BP)
という本のタイトルが目に飛び込んできました。
数ヶ月前に購入して、そのままにしてあった本です。
思わず、手にとりました。


この本は、米国の時代を超えて際立った存在であり続ける企業
18社を選び出し、設立から現在に至る会社の歴史を徹底的に
調査し、ライバル企業と比較検討して、永続する、真に卓越した
企業の条件とは何かを書き記した本です。
その源泉は、「基本理念」としています。
「基本理念」とは、『戦略とは違い、たとえ一時的な不利益を
招いても企業が守り続けていくべきもの』と、本書で説明しています。
調査の対象となった企業は設立約100年を超えている企業が
ほとんどで、このように長い期間、「基本理念」を守り通してきました。
長い時間の経過があっても揺らぐことがないから「基本理念」
なのです。「基本理念」は時間に裏づけされた、とても重いもの
だということを痛感しました。
最近、陳腐で軽い言葉のように使われてしまっている「企業理念」。
現在の様々な社会のゆがみが、この「理念」という言葉の
取り扱われ方に象徴されているような気がします。


周りの環境がどんなに変化しても、太くまっすぐにのびた幹のように
揺るがない「理念」という軸を持った上で、変化を受け入れて
いかないと、やがて、バランスを崩して木は倒れてしまいます。
国も、社会も、企業も、自分の人生も柱となる軸とバランス感覚が
重要だと改めて思いました。