SRIファンド

4月1日に、ペイオフが全面解禁になります。
しかし、資金移動はすでに始まっています。
日銀の資金循環統計によると、昨年12月末の家計の
資産残高は約1424兆円。うち、株式、投資信託、外貨預金、
対外証券投資を合わせたリスク資産の残高は約129兆円。
全体に占める割合は、9%。
特に投資信託は前年同期比12.6%増の約36兆円に
上り、統計を現行方式にした1997年以降で最高と
なったそうです。
それにしても、投資信託のラインナップも、ずい分、
充実してきました。私が証券会社で投資信託を販売して
いた頃は、インデックスファンドとか、ただの株式ファンドとか、
中小型株ファンドとか、バランスファンド(株と債券を
組み合わせたもの)とかで、個性的なものはあまりなかった
と思います。ただ、「トップブランドファンド」は、
記憶に残っています。女性好みの世界の一流ブランドの株
に投資するファンドで、人気もあったし、成績も良かった。


今は、ほんとにいろんなファンドがあるんですね。
りそな銀行で販売している「ラブ・ミー!」は、若い女性を
ターゲットにした商品で、投資額の一部を化粧品メーカー
などの株で運用するそうです。購入する額によってエステの
利用や温泉旅行などをプレゼントする特典もついている
らしい。投資信託版、優待か・・・。


最近、目をひくのは、SRIファンドですね。社会的責任投資
の視点で運用するファンド。「日興エコファンド」(日興アセット)
「ぶなの森」(損保ジャパン・アセット)、「あすのはね」
(朝日ライフアセット)、「つながり」(野村アセット)etc.etc.
なんだか、ファンドらしくないネーミングと思ってしまった
のは私だけでしょうか。
ところで、社会的責任ってなんでしょう。
本家本元の会社、スイスの製薬会社ノバルティスを例にあげて
みましょう。


ノバルティスが社会的責任へ本格的な取り組みを始めたのは、
今から6年前。スイスのダボスで開かれた「世界経済フォーラム
年次総会」がきっけだそうです。アナン国連事務総長の講演、
「グローバル・コンパクト」が社会的責任重視の流れを作り、
開催地スイスの有力企業ノバルティスが先導をきったのです。
どのようなことをしているかというと、医薬品が買えない貧困
地域などの人々に医薬品を提供するため、医薬品の寄付にとどまらず、
マラリア治療薬を原価で提供するなど、人権擁護のための活動
をしています。
ノバルティスは、「抗がん剤などの価格が不当に高い」と
社会的に厳しい目にさらされており、利益を社会に還元する
という意味合いもありました。
ノバルティスをはじめ、欧州企業における社会的責任重視の
考え方は、6年間という時間をかけて、はぐくんだ企業文化
が底流にあるようです。


日本における社会的責任活動は、今始まったばかり。
ここでも、欧米が先をいっています。
しかし、「未来ビジネスを読む」の浜田和幸氏は、
「われわれ日本人には、東洋文化の担い手としての知恵がある。
われわれの文化は、常に自然と調和することで育まれてきた。
つまり、『人間』も『自然』も『科学技術』も、1つの有機
と見なすのが、われわれの文化であり、その根本には『共生』と
いう概念がある」といっています。
まさに、そのとおり。
日本には、もともとこういう文化があるのです。
欧米流の資本の理論、利益重視がいきすぎてしまった反省の先に
社会的責任活動があるわけで、日本人は、もともともっていた
『共生の文化』を取り戻せばよいわけです。
日本は、早くから取り組んできた環境問題で、世界の
リーダーシップをとれるといいのだけれど、京都議定書の経緯
をみていると、強い国にはかなわないのかしら・・・。