石原産業

今日は、石原産業の土壌埋め戻し材「フェロシルト」の
問題を取り上げてみたいと思います。
石原産業は白色塗料に使う酸化チタンで業界トップの企業です。
白色塗料というのは、モノを美しく染めて、そのモノを守り、
長持ちさせるという役割を担っています。もし、自動車に
塗料を塗っていなければ、雨に打たれてすぐに錆びてしまいます。
この塗料の素材になっているのが酸化チタンです。
この酸化チタンを製造する工程で、廃硫酸がでるのですが、
この有害な産業廃棄物を「フェロシルト」という土壌埋め戻し材
の中に混入して無害な土壌埋め戻し材として、販売していたのが
今回の事件の内容です。
フェロシルトは、赤土のような固形物で、造成地などの盛り土用
の「埋め戻し材」として2001年から約72万トンが販売
されていました。埋め立て地に埋められて、時間が経過した
ところで、土壌から発ガン性物質の六価クロムが検出されました。
有害な産業廃棄物を無害なリサイクルの埋め戻し材と偽って、
土に埋めていたことが発覚したのです。
さらに、石原産業はこの事実を隠蔽しようとしました。
三重県の調査で、販売価格の20倍ものお金を無許可の業者に
渡して、埋め立てを依頼していたことがわかりました。
これは、悪質です。
さらに、11月9日付けの会社の広報によると、岐阜県の告発に
対して、フェロシルトは自主回収するけれど、不法投棄を行った
事実はありませんと言っています。会社ぐるみではないと言って
いるのです。


石原産業のHPを見てみましたが、この会社の企業理念は、
「社会」「生命」「環境」に貢献するため、科学の進化に取り組む
こととありました。社長のあいさつはこんな具合です。
『より健康的で美しい生活環境を求め、わたしたちの住む地球の
よりよい環境作りのために、全世界の人々と手を携えて、この
崇高な使命達成に取り組んでゆかなければなりません。』
うーん、今回の一件は社会に対してはもちろんのこと、株主に
対しても大きな裏切りですよね。
その割に株価にはそれほど大きな影響がでていません。
そういえば、大手鉄鋼メーカーによる、東京湾への廃液垂れ流し事件
のときも株価にはほとんど影響がでていなかった。
投機家主体のマーケットだから内容はどうでもいいのか、
日本人が環境破壊に対して感覚が鈍いのか、理由はわかりませんが。
私にとっては、今後まず投資をすることがないであろう会社の1つです。