「スローフード」スタイル

ブックオフコーポレーションという会社をご存知ですか。
中古本販売事業で業界トップの会社です。
この会社が提唱する書籍購入の新しいスタイルは、新刊書店で
本を買い、読み終わったら中古本屋に売り、そのお金でまた、
本などを購入するというものです。
今の世の中、ものが余ってあふれているわけですが、ある人に
とっては余ったものでも、ある人にとっては必要なものであるわけで、
このニーズを結びつける市場が、これから成長の可能性が高い小売の
形として注目されている「二次マーケット」です。


ブックオフの社長、坂本孝氏はこんなことを言っています。
ビジネスは「スローフード」スタイルで。
スローフード運動は、「地元の良質な食材を提供する小生産者を
守り、彼らが提供する食材の価値をその地域の消費者全体に
認識していただく」ことだといわれているが、これはブックオフ
ビジネス戦略にも当てはまる。
地域の強みを生かし、地域内調達を活性化することは、その地域を
持続的に繁栄させることにつながる。
ブックオフは地域密着型の店舗展開を行い、お客さまが繰り返し
ブックオフの店舗を利用してくださることで、その地域のお客さま
が望む価値を持った商品を永続的にタイムリーに提供する地域戦略
を確立することが可能になった。
「スロー」を「タイムリー(適時)」と言い換えれば、じっくり
かまえて時流を捉え「ここぞ」というときに的確な行動ができる
鷹揚さを意味する。それを永続的に維持するためには、社員間の
経営理念と価値観の継続的な共有が不可欠。


大量生産、大量販売のファーストフードは、確かに安いしお手軽です。
しかし、食材調達のことを考えてみると、とにかく安いものを大量に
仕入れる必要があるわけで、食材の安全性や質については、
プライオリティーが低い。ファーストフード店に行ってみれば、
どの店にいっても、画一的な味。しかも、私たちは、子どものころから
この味に慣らされてしまっているのです。大人になった今でも、
時々、無償に食べたくなる。そんなことありませんか。
しかも、一緒に子どもを連れていき、子どももあの味に慣らされるの
です。あの味が、先祖代々の味に・・・!?
しっかり、大手ファーストフード店の術中にはまってしまってますね。
その一方で、手間隙かけて安全で良質な食材を作っている地方の
零細農家は、太刀打ちできなくなっています。そんな状況下で
スローフード運動」が生まれてきたわけです。
物質循環を地域単位で考える「スローフード運動」は、まさに
環境問題に密接にかかわってくる重要事項です。こういう発想を、
ビジネスの中に取り入れていくのが、これからの会社の成功の道
なのではないかと思います。


ブックオフの坂本社長は、このビジネスで成功するまでに波乱万丈の
かなり厳しい人生を歩んできたと聞いています。苦難、困難の先に
いきついたビジネスモデルが、「スローフード」スタイルだったわけです。