忘れさられた社員

ヒート・アップするフジテレビ VS.ライブドア。そんな中、
ニッポン放送社員は、全員一致でライブドアの経営参画に反対する
声明文を発表しました。
今回の騒動において、当事者以外のニッポン放送の株主や、
ニッポン放送の社員は、蚊帳の外におかれていた・・・。


M&Aを成功させるためには、まずは、合併や買収の対象となる
企業で働く社員の支持を得ることが大切。
そのためには、今後の経営目標や方針をしっかり説明しなければ
いけない。
日本電産の永守社長は、今回の騒動に対するコメントを日経新聞
寄せていますが、こう言っています。
「経営者の支持は受けなくてもいい。過半数の株を持てば辞めさせ
られる。今の経営者がいなくなって従業員がバンザイするのか、
そうではないのかが重要だ」
日本電産は、積極的な企業買収で成長し、着実に企業価値を高めて
きた会社です。活力が落ち、赤字を出し続ける会社でも、永守社長
の手にかかると、比較的短い時間で、やる気のある、利益の出せる
会社に変身してしまうのです。
土曜、日曜返上で、永守社長自らが、買収先の企業に出向き、
徹底的に永守イズムを植え付ける、これは有名な話です。


結局、買収に成功しても、「人の心」がついてこなければ、単なる
「乗っ取り屋」に終わってしまう。日本の株式マーケットでは、
M&Aが大きなテーマになり、連日、関連銘柄が物色されていますが、
資本の理論+人の心が、日本のM&Aのキーワードかもしれません。


そういえば、米国の経営学の第一人者、ピーター・ドラッカー
が「私の履歴書」(日経新聞)の中で言ってたっけ。
「私の言葉の中で最も広く知られているものに『事業の目的とは
顧客を作り出すこと』がある。一般的な『事業の目的とは利益を
生み出すこと』は見当違いだと断じたわけだ。」
ビジネスも金融のマーケットも「お金」が主役ではなく、「人」が
主役。